エロゲ概論①

①題名:月姫
キャッチフレーズ:「―――私を殺した責任、とってもらうからね?」
ジャンル:伝奇活劇
制作会社:TYPE-MOON
脚本:那須きのこ
制作年:1999年
2ch住民が選んだエロゲランキング(以下:2ch歴代ベスト):23位
(1995−2009年までに発売されたエロゲタイトル5000の中から厳正投票制)
エロゲ批評空間(中央値/平均値):89/85
エロゲ批評空間ベスト(現存する殆ど全タイトル):第17位
同梱:『月姫PLUS-DISK』『歌月十夜

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―――それは、伝説の幕開けだった。

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1999年、大規模同人誌即売会コミックマーケットにて、ある無名の同人サークルでメイドさんがエロゲを手渡しで売っている、との噂が流れた。それは果たして本当だった。メイドさんとの刹那の触れ合いを望むシャイなヲタクはいそいそと件のサークルに赴き、握手のついでに噂にすら聞いたことのないゲームと1000円札紙幣を交換した。
―――そして、彼らは目撃した。歴史が新たなページを刻むその瞬間を。

月姫』。
物体の<壊れやすい>線が見える殺人鬼と吸血したことのない吸血鬼の姫との物語。
いまでは本タイトルを知らないオタクはもちろんヲタクもOTAKUも存在しない。感動・泣き・奇跡による救済を3本柱としてエロゲ界を席巻した葉鍵時代に終焉の2文字を刻んだ本作品は、確かに過去のエロゲのある傍流を祖としながらも、まったく新しいエロゲの可能性を消費者(萌え豚)に見せつけた。

我ら(萌え豚)は慟哭した「ぶひぃぃぃぃぃ!」

…その後彼らは同人としてのアマチュア精神と訣別し、商業として歴戦の兵たちと闘う覚悟を決めた。そして快進撃が始まる。2004年『FATE/STAY-NIGHT』。2005年『FATE/HOLLOW-ATARAXIA』。2011年『魔法使いの夜』。それらすべては月姫で我ら(萌え豚)を魅了した他に類を見ない陶然とさせた伝奇世界を共通のものとしながら、月姫では
語られなかった新たな側面を見せつけた。

我ら(萌え豚)は滂沱した、「くぁwせdrftgyふじこlp」

確かに絵は古くクセもある、認めよう。
確かに話はとっつきが悪くクセもある、認めよう。
システム回りもセーブが少なく、フラグ管理も曖昧だ、認めよう。
他にも隔靴掻痒の感を覚えることが多々あるのは認めよう。

しかし、しかしだ。
本作にはそれらを補って余りある熱量がある、才能のきらめきがある、ラフ・カットだが我ら(萌え豚)を魅了させる<何か>がここには確かに存在しているのだ。

願わくば、最後まで投げださずにプレイしてほしい。なに、総プレイ時間自体はそれほど長くない。その気を出せば一瞬だ。現に僕は全ルート(5人)を1昼夜で貪り尽くした。

君は今まで食べてきた妹の数を覚えているか?モチ☆ロンさー!

今回渡した『月箱』は、月姫本編の余りある実力に比して販売本数が100という少なさであったため、後に発売されたお祭りディスク(後日談みたいなもの)を含めた月姫関連作品を1本化パックにして販売されたものだ。しかしこれも当然ながら一瞬で完売・プレミア化した。僕はアキバをぐるぐるまわって諭吉おじいちゃん2人でグッドバイした。グッドバイとは良いお買い物であると同時に金とのサヨナラも意味しているのだ。

是非、月姫(本編)→歌月十夜(後日談)→月姫PULSDISK(お祭りディスク)の順でプレイしてほしい。
是非、月姫本編は「アルクェイド→シエル→秋葉→翡翠琥珀」の順で攻略してほしい。

良き出会いとならんことを。